モンスター。警察から逃れながら、ヨハンを追うテンマを軸に、テンマが行く先々で出会う人々のサイドストーリーが語られるという形が見えてきた。そのサイドストーリーの濃厚さが、この作品の特徴のひとつなのだということも判った。それはそれで面白いと思いながら見つつ、この作品って、子供がほんとに可愛く描かれている。それも、普通の子というより、心に闇を抱えた子。テンマが射撃の技術を教わる回に登場した、喋れなくなった女の子とか、今回の虐待を受けている男の子とか。始めは笑いもしないし、無表情で、人と距離を置く子が、次第にテンマには甘えて、心を開いていく。特に、今回の男の子が本性を見せた養父を前にして、きっと表情を引き締めるところとか、それ見てるだけで思わず守ってあげたくなるような。こういう描写に、自分は弱い。
 で、それには原風景があるはずと記憶を辿ってみて、辿り着いたのは「オネアミスの翼」。この作品に出てくる、リイクニが面倒を見てた女の子、マナだった。マナもやっぱり、両親が喧嘩が絶えなかったせいで、心を閉ざしてしまっていて、常に無表情だったけど、主人公シロツグにはなついて、そして最後にはとびっきりの笑顔を見せる。前歯が欠けてて、ぶっちゃけ可愛くない笑顔だけど、それがカワイイと思える。子供本来の笑顔だと思えた。
 オネアミスの翼には、ほんとに多くの影響を受けてるんだな、自分。劇場公開当時、一緒に観に行った友達はアニメを2時間も見てられないと、隣でぐうすか寝てたけど、自分は夢中になって観てた。おそらく傍から見れば、目を輝かせながら観ていたことだろう。心底引き込まれていた。その時はそれがどんなものかよく分からなかったけど、いま思えば、作り手の情熱を感じ取って、感動していたのだと思う。作品そのものの面白さもさることながら、作品を作り出す面白さにも感じ入った瞬間、アニメ版。てか、アニヲタとしての道が開けた瞬間だな。