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過去の大作のリメイクというのはもちろん、テレビドラマには珍しく半年間の放送という点に何故か惹かれてチェック。1クールのドラマすら追えるかどうか疑問な現状、捕捉し続けられるかはあえて意識しないようにするとして。
名医ではあるが野心家でもある財前は一応悪という立ち位置になると思うけど、教授を頂点とした権威社会でもあり、様々な思惑が渦巻く大学病院では、彼くらいの野心がなければ生き残っていけないであろうし、彼の絶対的な自信は治療においてはやはり患者に安心感を与えると思うし、必ずしも憎むべき存在と捉えられないところが魅力ある。医療に絶対はないと言っても、不安になっている患者としては大丈夫だと言われればホッとするのが正直なところだよね。「先生」に全てを託すしかないということもあるわけだし。財前の出世に対する執念が子供時代の貧しさから来ているのは確かなようだけど、それが全てというわけではなさそうなのもいい。対して、病院内の派閥にとらわれず、患者第一の里見はいかにも人の良さそうな人物。本来医者があるべき姿のように描かれてはいるのだけど、里見が理想とする治療を行うには、大学病院などさっさと辞めて、開業医にでもなったほうがいいのではとか思った。まあ、野心はなくても、医療に対する熱意では財前に負けていないという感じかな。
大学病院という場での確執や駆け引きの部分はまだ興味を引くまでのものはない。このテのものを見飽きていることもあるし、踊る大捜査線のようにユーモアを交えて描くような作品でもないから、じっくり盛り上がるのを待つのみ。
西田敏行演じる産婦人科院長が存在感あった。実際は一介の町医者に過ぎないらしいけど、印象は生粋の大阪商人そのもので、大学教授たちと居並んでも何ら違和感ないのが凄かった。料亭で財前に自論をとうとうと説くシーンは特に圧巻。儲け主義の商人気質は卑しいと思うのが普通だけど、儲けを基準にして物事を判断する能力はシビアで優れたものがあり、説得力があって、妙に納得してしまった。要は物差しの違いにすぎないというわけね。他に、黒木瞳の魔性な一面もなかなかだった。財前役唐沢寿明と里見役江口洋介の二人を中心に、脇もがっちり固めて、さすがに隙がないね。