エンディング到達。ほとんど攻略本頼りでサクサク進めて、それでもラスボスだけはてこずって、最後の最後に袋小路に陥りそうになったので、結局2chで倒し方を探して何とかクリアした。落ち着いてやれば、ザコキャラ並みにあっさりなラスボスなんだけど、捕まったら即死というのがきつかった。結構プレッシャーになるんよ、そういうの。
 クリア後の感想をひと言で言うなら、面白かった。ゲームでこんなドキドキを味わったのも久しくなかったし。恐怖を味わうという点では最高に良かった。
 この作品では敵を撃退するには接近しなければならない。近付いて射影機の一定の枠内に収める必要がある。敵を引き付ければ引き付けるほど、大きなダメージを与えるチャンスが拡がる。もちろんそれは自分もダメージを受けるリスクを背負うことになるわけで。そのドキドキ感。初めてプレイした時はたまらなかった。ファインダー越しの視界という独特の感覚もあり、霊と相対している実感があって、怖いと心底感じた。
 音については、自分はヘッドフォンをしてプレイしたのだけど、ムービーシーンに入る時、大きな音を立てて驚かすような手法が多かったのにはやや萎えた。耳元で避けようもない大きな音を聴かされるのにはうんざりだった。特にムービーシーンはモノクロ映画を思わせる、ざらつき感のある絵がリアルで充分怖かったから、音の過剰な演出が勿体ない気もした。ゲーム中のBGM、効果音は申し分なかっただけにね。フィールド上を歩いているだけで、何か囁きが聴こえてくるような、「リング」のような、キィーって不快な雑音が常に耳を刺激する感覚は良かったと思う。
 射影機を用いて霊を撮影し戦うというアイデアそのものや、霊の位置と攻撃のタイミングを音やフィラメントの反応で感知したり、それから振動でも感じたりと、五感すべてを使って戦闘している感覚を味わえるゲームシステムは素晴らしいと感じた。難点を言うなら、メニュー系かな。マップを見るのに一度メニュー画面を開く必要があって操作が煩雑だったり、セーブする時もBGMがゲーム中と変わって気分を阻害されたり。メニュー画面での効果音もヘッドフォンをしているとうるさく感じた。メニュー系の操作はゲーム中の演出とは関係ないことかも知れないけど、やっぱり頻繁に使うものなんだし、もうちょっと使い勝手を考慮して欲しかったな。
 で、最大の関心事であるストーリーについては、うーむと言葉を濁したくなるところ。伏線を張るだけ張っておいて、そのほとんどを回収できてないし、期待するとがっかりかも。エンディングについても、この作品世界ならアリなんだろうし。それならそれで澪と繭、それから紗重と八重の関係をもっと深く描いてくれないと、情感云々の前に、別の意味で悲しいものがある気はしたけど。それでもエンディングで余韻に浸れたのは、天野月子さんのイメージソングに拠るところが大きい。あれはいい曲だ。曲に感動してた。まあ、どうやら真のエンディングは別にあるみたいだし、一回クリアしたくらいで物語のすべてを語るのは無理があるか。それにこの作品は、澪と繭という強烈な萌えキャラクターの存在で充分引っ張っていける。秀逸なゲームシステムと萌えキャラの存在、それがこの作品の牽引力。澪と繭の二人のイラストがなければ、この作品を手にすることもなかったかと思うと、。でも実は最強の萌えキャラは、七ノ刻の終わりに登場した千歳という少女の霊だった、ってね。この少女との戦闘は倒すのが忍びなかったなあ。七ノ刻にもなると、こちらの射影機もパワーアップしているんで、タイミング良くシャッターを切ると霊を弾き飛ばせるのだけど、ふっ飛ばされる千歳が痛々しくて可哀想とか何度も思った。掴んでくると「助けて」と悲しい声で訴えるし。掴まれたままだとこちらがダメージを受けるので、振りほどかないといけないのだけど、なんか掴まれたままでもいいかなあという気になってしまうというか、千歳と戦闘していると、こっちがいじめているような気分になってくるという。実際、千歳はすごく怖がりで、残酷な光景を目撃して恐怖のあまりショック死したっぽいから、気の毒といえば気の毒な霊。戦闘中にその相手を倒したくないと思えたのは新鮮だった。そういや、霊と戦う、霊を撃退すると言っているけど、作品設定上では「除霊」しているんだよな。つまり、この世に未練があったり、強い思念となってこの世に留まっている霊たちの魂を射影機で撮影することで浄めてあげているとも言えなくない。考えてみれば、霊たちのほとんどは被害者とも言えるわけで、千歳のことも除霊して救ってあげたと思えばこちらも救われる。それはラスボスも同じ。こういう感覚を味わえるもまた新鮮だった。
 締めとして、このゲームは夜中にヘッドフォンをしてプレイするのが一番。試しに、明るい時にヘッドフォンをしないでやってみたけど、全然別のゲームだった。テレビ画面に光が反射して画面が見づらい、暗すぎて訳分からないというのもあったけど、不快なノイズに包まれる感覚がないだけで、怖さも半減。だから皆が寝静まった深夜に、ヘッドフォンで外界を完全にシャットアウトして、作品世界に没入する。そうすると、首筋に寒気を感じるような、非常に心地の良いプレイができる。プレイ中、何度後ろを振り返ったことか。誰かに呼ばれた気がして、つい振り向いてしまうんだよ、ほんとに。誰もいないのを確認するために、振り向かずにいられないって感じで。