「国産ロケットはなぜ墜ちるのか」 松浦晋也 日経BP社 ISBN:4822243834

 「ふたつのスピカ」を見てなかったら、おそらく目に留まることもなかった。獅子号の墜落シーンを散々見せられていたから、興味が沸いて思わず買ってしまったよ。
 ロケット打ち上げ失敗が続く日本の宇宙開発について、その原因と問題点を指摘した本書を読むと、結局のところ、明確なビジョンを持たない日本の政治家と、個々は優秀でも組織としては鈍重な官僚が、技術立国であるはずの日本の宇宙開発をいかに骨抜きにしてきたか、いかに無策で放置してきたかが分かる。何だか中国が羨ましくなった。その純粋までの国家的野心が。国威発揚の道具に過ぎないといしても、自分たちで自分たちのモノを作ろうという情熱は感じられる。対して、日本も技術力は決して低下しているわけではないらしい。でも宇宙開発の現状は寒すぎる。有人宇宙計画について、今後10年は独自の計画を持たないと明言するなんて。純国産の有人ロケットが飛ぶのを是が非でも見たいとは思わないけど、夢がないね。みんながみんな宇宙に行けるわけではないどころか、誰も宇宙に行けないのに、宇宙学校に入学したいと思う子供がいるだろうか。今の日本にアスミがいたら悲しむだろうな。