「先輩とぼく」 沖田雅 電撃文庫 ISBN:4840226121

 正直、読んでいて退屈だった。笑える部分は確かにあって、電車の中で吹き出しそうになるのをこらえながら読む、その楽しさはあったけど、抱腹絶倒ってほどじゃなかった。シュールというほどシュールさに満ち溢れていたわけでもないし。この程度のものが銀賞って、他のが余程出来が悪かったのかと邪推してしまう。何よりイタくてね。読みながらイタくて仕方なかった。書いている本人がノッていても、読むほうもそれに同調できるとは限らない。むしろ冷めることもあると改めて思い知る。その点は勉強になったよ。
 あとがきで、手を加えて枚数が増えたと書いてあったけど、まさかそれで勢いを殺してしまったことはないよね。枚数が増えれば、面白さも倍増ということはないし。あと、極めて映像的な内容や、イラストのおかげで最後まで読む気力が持続したこともあり、アニメにしたらもっと楽しめるんじゃないかと思った。