「マッハ!!!!!!!!」

 見てきた。
 一番の感想は、いてえー、マジ痛そう。主演のトニー・ジャーの体を張ったアクションはもちろん、目に付いたのは頭部への打撃。とにかく肘打ちによる脳天突きが多かった。あれ、ムエタイ独特なんだろうか、いや試合でも禁止されてるだろうな、マジ危ないって。一撃必殺とはまさにこのことといった感じだった。素の痛さもさることながら、終盤では反則に近い痛さも加わって、痛さ感激なアクション映画に仕上がってます。
 しかし、ムエタイはやっぱり凄いね。迫力がある。剛の力強さがあるかと思えば、バネのようなしなやかさも見られたり。地下の賭け試合でタイプの異なるファイターと戦うところなんてね、ムエタイはどんな相手にも対応できる、最強だと言わんばかりの、実はムエタイの強さを世界に知らしめる格好のプロパガンダなんじゃないかと思うような。いや、そんなことしなくても、ムエタイの強さはすでに知られてるけど。見せ方としても、力強さ&華麗さという動きが多用されていたのは面白かった。
 実のところ、作り的にはこれまでのアクション映画の定型そのまんまで、ムエタイで味付けを変えてみましたって程度。自分はもっと斬新なものを期待して観に行ったので、その辺は期待外れな面もあるんだけど。三輪バイクでのカーチェイスなど、ジャッキー・チェンそのもの。見ながら、若い頃のジャッキーの映画が幾つも思い浮かんだ。若き頃のジャッキーを彷彿とさせる、その意味では「過去10年間の格闘技系映画をすべて蹴散らす」というのは間違ってないね。生身の身体で勝負する点で、久しく現われなかった若き新星の登場と言っていいんだろうし。今後が楽しみ。
 いかにも素朴なトニー・ジャー演じるティンも良かったけど、ジョージもいい味出してた。コミカル担当なんだけど、意外に強いのはティンと同郷で多少の心得はあるからということなんだろうか。最後、結構泣ける。それからヒロインのようであまりヒロイン扱いされてない黒毛の女の子もキュートだった。タイ人らしい顔つき、タイ人らしい高い声(泣き声が、これがうるさい、うるさい)。欧米ウケしそうな美人を使わないところが好感触。まあ、お国柄、あまりにスレンダーな美人はニューハーフと間違われそうだし。
 とまあ、ごたごた言ってしまったけど、素で楽しかった。