覆水盆に帰らず。
 お盆の時期にトラブルが発生し、ひっくり返ったお茶を拭く暇もないほど、帰省もままならないほどの状況に陥ってしまったことの意であるが、今ではお盆に帰らないことの言い訳に使われることが多い。
 気持ち、人の減った朝の電車の中で声を弾ませる子供たちに、かつての自分を見る。隣町へ行くのですら充分遠出だった頃、電車を使い、子供らだけで東京に遊びに行くことはロケットで月に行くようなものだった。
 そんな訳で、今宵お送りするナンバーは、松村和子で「帰ってこいよ」。