SAW

老朽化したバスルーム
足首には鎖
対角線上にはもう一人の男
中央には自殺死体

 「cube」にはまった者として、興味をそそられる予告にも釣られ、観に行ったけど、やはり予告は予告、やや期待外れだった。作中人物を特殊な状況に追い込んで、ある「ゲーム」を強いる。この手の話って、何のために何故そんなゲームをする必要があるのだと、作中人物だけでなく、観客も徹底的に不条理な状況に導いて、恐怖感を煽るものが多いと思うんだけど、この話はゲームに理由付けを早い段階でしてしまうんだよね。だから、不条理さから来る恐怖感はあまりない。意外に人間関係が限られているので、最後のどんでん返しも驚きも恐怖もさほどではなかった。予想もつかないというより、ああ、よく考えればそうだと冷めた納得を覚えるラスト。終盤も、オチのためにつまらない展開になってしまっていた。
 バスルーム内でのゲームよりむしろ、そこに到るまでのゲームのほうが見応えあったし、恐怖感もあったし、思うところも多かった。特に、唯一ゲームに勝った女性の話とか。命を粗末にするということに関してあれはどうなのかなと思うけど、生に執着すると究極的にそういう選択になるのだと思うし。最も考えさせられた場面。
 この映画を見て、笑いを堪えきれなかった人が結構多いように、ツッコミどころの多い、練り込みの足らない内容ではあったけど、低予算で短期間での制作だったらしいし、アイデア勝負なところと、とにかく勢いで作った点では、ブレア・ウィッチとかよりは全然良かった。