#7「二人のつかのま」

  からだと椒子の体があべこべになるまで、尋兄が自分を捨てたのはからだのせい、と椒子はからだを快く思っていなかった。尋兄が椒子を見捨てたのは事実だし、それは致し方ないことなのかとか、これまで尋兄と椒子の距離感が掴みにくかったけど、アメリカで付き合っていた頃から表面上はうまくいっているようで、すれ違いは生じていたようだと今回の話で分かった。その原因は主に本音をさらけ出さない椒子のほうにあって、椒子のその距離感が、椒子にやけに素っ気ない今の尋兄の態度につながっているのかなと。まあ、椒子の弱さを真に理解しようとしない尋兄にも問題はあるけど、からだの一件がなくてもいずれ二人はうまくいかなくなっていたような感じだった。