#13「魍魎の匣、あるいは人の事」

 憑き物落とし解決編。謎解きではきれいに落ちてるようで、各人では落ち切っていないというのが最後の花火につながる? あの花火には、実はコントでしたみたいに、それまで張り詰めていた空気が一気に弾けとんだようでちょっと笑ってしまった。まあ関口で言うなら、奴には次なる私小説のネタにでもなるからいいだろうって感じで、きれいに落とせるとは京極堂自身も考えていないんだろな。自分的には、倒錯的な愛とか、初作に続いてまたその辺の狂気に行き着くわけかという部分が余分にすら思えるオチ。この話のオチがあまり印象になくてすっぽり抜け落ちていたのはそういう理由からだったかと、見えるものにもフタをするという初作の罠に自ら嵌まっていたわけだなと、まさにマトリョーシカな気分を味わうことに。ほんとそういうところは上手いというか、薀蓄はもちろん、単なる推理ものとは別のところでも楽しめる複層的な構造がこのシリーズの面白さだなと。人のやみを妖怪になぞらえる部分も今見ても古臭く感じないし、この時代の匣がテレビなら今ならあれかとか、意外に年月の風化にも耐え得る構築物だということも再認識。まさか1クールでまとめてくるとは思ってなくて、にもかかわらず、記憶にある範囲での原作の凝縮感、再現性は文句のつけどころがなかったし、モノローグする関口で過剰に演出したりとお遊びも適度に、いい緊張感のなかで楽しめることができた。