#7「合成獣が哭く夜」

 これまでで最凶にあざとかったなあ。これまで何度も語られた、エドとアルがお母さんを生き返らせるために人体錬成を行った事と絡ませて、人間が持つ暗闇を描きたかったと思うんだけど、タッカーの場合、根本が腐ってるだけみたいだし。錬金術が人を狂わせたのではなく、狂った人間が錬金術を使っただけ。ニーナが人体錬成の道具にされたことにはやりきれないものがあったけど、錬金術を単に試してみたかったからというタッカーの動機はちょっと納得ができなくて感じるものはいまひとつだった。ただ狂ってただけで片付けられる話にはして欲しくなかったかな。ごめんねというエドもなんか違うと思った。タッカーが今回の行動を取ったのはエドのような若く有能な錬金術師に追い落とされる焦りがその一因になったのかも知れず、その意味では確かにエドの存在が引き金になったとは言えるけど、そのことをエドが意識していたとは思えないし、そこまで罪を背負うとする必要もない。タッカーがしたことと自らがしたことはどう違うのか、どこが違うのかと省みるのならいいけど、ニーナを救えなかったと嘆くのは逆に思い上がりもいいとこ。
 それにしても合成後の獣姿とはいえ、少女があそこまで無残な最期をさらす様を見せるとは。絵的インパクトというより、精神的インパクトが強烈。そこまでやっちゃうか、という。