#9

 甲洋は死亡ではなく、同化か。えげつねーと思ったけど、そういう状況が避けられないものとしての描写は翔子の時より良かった。戦時下で日常に戻る一瞬として、私服ですれ違う溝口と悪女先生のやり取りとかも良かったし、学園モノ的な側面も今回は少しだけ見られた。家族関係の中に先輩後輩という別の視点を持ってきたのも面白い。ぬるい組織だなと思っていたけど、強かそうなあの後輩の子が先輩たちを出し抜いてファフナーに乗る乗らないになれば、これからは緊張感も期待できそう。真矢もああ見えて体育会系だから、意外と上下関係に厳しかったりするかも。まあそれも面白い。真矢はいい感じで物語を引っ張る役になってる。
 甲洋の両親は生命維持装置を解除しようとしたとき、手が震えていたのが唯一の救いだった。非人間を描きたいわけじゃないんだね。様々な人間がいて、その中に愚かな行為をしてしまう者もいると。その意味で、お前が親子の情を語っている場合かと言いたくなるような、非情になれない真壁司令官も、逆にあえて非情に徹する総士もツッコミはあるけれど気持ちは理解できる。人間ドラマの要素はちゃんとあるんだよな。あとは一騎だ。たぶん学園生活ではダントツに存在感のあるキャラなんだろうけど(でなきゃこうも好かれない)、戦時下のこの存在感の無さはいったいどうしたことか。このままじゃ翔子も浮かばれないよ。