#15「アゲハ蝶の不安」

 対を失い、行き場を失くしたリナクス少年は自ら幕を引く。やりきれない最後だった。クラウやクリスマスには愛情を注ぎ、温かい視点がある一方で、サブのキャラにはとことん冷たい。とことん残酷、と物語の顔の一端が明らかになったような展開だった。ただリナクス少年も自ら望んでそうなった訳でなく、人間たちの恣意的な思惑が裏にあり、対を失ったリナクスがどうなるのか、どういう行動に出るのか知ることができた点では前々回の海賊の話より見るものはあったかな。「おまえの記憶は、対がいる喜びに満ちている」というクラウへの憎しみも上手いと思った。クラウにとっては冷水を浴びせられたようなもの。まあクラウだって、ひとりでいた時間のほうが長いのだから、対であるクリスマスと一緒の時間を幸せいっぱいに過ごしても罰は当たらないとは思うんだけど。で、自分的にはリナクス少年の前に立ちはだかったクリスマスが力を発動して少年を消したりするのかと思ったんだけど、そこまではしなかった。とことん汚さない覚悟のようだ。こうなったら、クラウとクリスマス、この二人の世界をどこまで守りきれるか、語って欲しい。