#16「丘の上の墓標」

 リナクス少年は死なず、と思ったらリナクス少年に救われたリナクス女性が消滅。ジェシカは自分が周りの人間を不幸にしていくと思い込み、孤独にも耐え切れなかったか、自害しようとする。それをいきなり見せる嫌らしさはおいとくとして、強引なまでのリナクス少年の陽気さにジェシカは救われた。それでいいじゃんと思うのに、最後にジェシカを消滅させる。結局、遣り切れなさは前回と変わらなかった。消滅する間際、ありがとうとジェシカに言わせる辺りなど、極悪というか、卑怯に近い。希望を見せておいて、どん底に叩き落すのがこの作品の持ち味らしい。それでも希望を捨てないということなのだろうけど。
 ややぽっちゃり型のジェシカが、意外に重いんだねと言われて顔を赤らめるシーンは良かった。前回はイタイとしか思えなかったリナクス少年も今回は何もかも無垢なのだと分かり、クリスマスが最初そうであったことを思えば、存在を確かめ合えるはずの対のいない少年の焦り、痛々しさが伝わってきた。ジェシカも幸せになれたで終わって欲しくなかった。それともリナクスの世界に帰っただけで、少年の中のリナクスも帰ることが出来ればメデタシになるということなのか。