#1「峠」

  初っ端から泣かせてくれる。人を殺めた罪は生きて償え、生きろ。幾度となく聞かされたこの言葉が、慶次郎の口から吐かれると重みが感じられるのだから不思議だ。それは慶次郎が数多くの人の罪を傍らで見、その者たちが背負う重み、痛みを共に感じてきたからでもある。今回の話の発端ではまだ慶次郎は自分自身はその痛みを体験していない。それ故、それから十何年後の今という話の持っていき方。その間、慶次郎自身も痛みを伴う経験を重ね、罪負い人にも厳しい現実があった。救いの手を差し伸べたからそれで終わりではない。今後もずっと憎まれ続けることを受け止める慶次郎の度量の広さが何とも言えない。そこにあるのは、生きることの重み。峠の話はいまひとつだったけど、それを「今」につなげるところが素晴らしい。3期目に入っても、まだまだ楽しめそう。