(再) #3「柔らかい角」

  思わず耳に手を当ててしまった。蟲に侵された親子、その母が子に伝える話(耳を手で塞いだときに聞こえる音を溶岩の流れに例える)が素晴らしかった。確かに血液の流れる音と思えなくもない。雪の音、蟲の音。意識すれば音は聞こえるし、騒々しい音もそれが常態化すればいつしか無音になることもある。幻想的な世界観のお話として見事だった。