#23「岬にようこそ!」

  寂しくなんかない。本心とは裏腹に、強がって岬ちに別れを告げた佐藤くん。契約を交わさなかったのは、それがどちらにとっても甘えでしかないことに気付いたから。人に哀れみを受けるほどツライことはないから、岬ちを哀れむような立場になるのが嫌だったというのもあるんだろう。岬ちと分かれてからの描写は随分と性急だったもんで、夢オチかとも思ったけど、苦しさに幻想の中の岬ちに手を差し伸べる佐藤くんは切なかった。この物語で一番グッと来た。そして、佐藤くん、引きこもり、ついに脱出? 劇的でもなく、たいした感慨もなく、淡々とした変化は、委員長の兄貴の時と同じく、一歩前に踏み出すってのはそういうもんだと。
  岬ちは佐藤くんに救われることが救いなんじゃなくて、佐藤くんに出会えたことがすでに救いになっているんだな。契約書を交わすまでもなく、か。そしてそして、死にとりつかれた岬ちの後を追う佐藤くん。どうもここに到っても佐藤くんを試しているんじゃないのかという思いも拭い切れないけど、結構いい盛り上がりで次回最終回へ、という感じ。金ないの知ってるだろ、とか笑いを忘れていないところもグッド。