(再) #13「一夜橋」

  死体に宿り、中身は空っぽだが、さも生きているかのように振舞う蟲。ああ、昔の人は心神喪失となった者をそういう風に見たのかもしれないし、あるいは死んだ者が蘇ってくれるようそう願ったのか。たとえ心が無くても、ハナがいたから生きてこられた、というゼンの言葉が胸を打った。生きて還っても二人が結ばれることはない。どう転んでも幸せのない状況で何を支えとするのか。ハナが生きてるか死んでるかでもったいぶることもなく、村八分にされていたゼンがあの状態で村に戻りどういう扱いを受けたのかも気になる最後など、話の語り口、切り方が見事。眼福。