#9「虎子」

  「足を閉じてなお 尻穴が見ゆるほど」って、もう想像つかんよ。按摩のおっさんのひと言が気に入らなくて、またぞろ殺人拳を喰らわしたのかと思ったら、畳を突き破っただけなのにあまりの殺気に按摩師のほうがそれに溺れてたとな。ほっとしたというか、その溺れ加減はちょっと笑った。興津は、彼が検校に伊良子をかくまうよう依頼したのか、検校に身を売ったのかよく分からなかったけど(己の身を守ってくれと願い出たなら興津が金を受け取る側とは思えないし)、虎眼流のなかでは真っ当な精神の持ち主のほうが長生きできないことを身を持って証明。