#11「月光」

  伊良子がただの盗賊風情に目測を誤ったのは、相手に対する殺気の違いということなのか。伊良子も別に心眼を極めているわけではなく、虎眼流に対する執念が見える者にさせているのだろうな。しかし、伊良子が木に引っかかった反動でたまたま編み出した技を、牛股は己の腕ひとつで実現。牛股による流れも初めて披露したと思うけど、怪力だけに頼らない剛と柔のバランスのようなものを感じられて思わずしびれた。さすが格が違う。伊良子もその辺分かっていて、無傷ではいられないであろうから、それよりも何より対虎眼を優先したというわけか。