#8「尚、足を知らず」

  終。野瀬が往生するところから、又左衛門と忠兵衛が本音をぶつけ合う場面、ふきが暇を告げる場面と次から次へと涙が止まらなかった。初回から通して話は急ぎ足だったし、演出にも違和感を感じることも多く、あまりのめり込んでいるつもりはなかったので、自分でも意外で正直驚いた。知らず知らず感じるところがあったんだな。野瀬が一番好きだったのはお前なんだなと、又左衛門を羨ましがる庄六にじんと来たね。仲間の誰に対してもずっと親身だったのは庄六なんだよね。その庄六からしてみれば、悔しくもあり、嬉しくもあり、といったところか。なんにせよ、それぞれで互いの気持ちを再確認できた、又左衛門であれば隼太であった頃の、昔の気持ちを少し取り戻せただけでも良かったかと。物語の最初と最後で何が大きく変わったわけではないというのも藤沢周平ものらしくていいかな。