#10「最終章―絶望をのりこえろ」

  不覚にも泣いた。真実から目を背けてきた、そうすることで喜多さんは生き続けてこられたわけだけど、今の平太との出会いがそうであるように、それがために裏切られない出会いもそれこそたくさん逃してきたのだろうなと思うと、喜多さんはつくづく気の毒な人だなと思わずにいられなかった。本当の絶望を知らないからそう思えるのかもしれないが。