#20

 盆送りになぞらえ、甲洋の蘇りを描く。甲洋が人間としての意識を取り戻したのは、乙姫の前例があったからそんなに違和感はなかった。むしろ甲洋を生のほうに引き戻して、死者である翔子が「そこ」にいないことをより強調する。親友だった者、救えなかった者、痛みを感じる者。それぞれが喪失感や苦しみを感じ、皆が翔子をいつまでも忘れない。翔子は死んだけど、記憶から消え去るわけではない、となる。そう思うと安易に殺したわけでもないんだなと好意的に捉えることもできるわけで。カノンをどう使うのかと思っていたら、翔子にだぶらせて、でカノン自身が島の人間に触れて、戸惑いながらも変わりつつあるから、そこにいるいないの問いかけも意味を持ってくる。甲洋をかばってみんなで立て籠もるとか、それぞれが顔を持ち始めた今なら笑って許せるし。総士も芝居が上手くなったものだ。望んだ学園風景はあまりないけど、文化を保存するためと言いつつ、日本の風習の中での子供たちの日常(と言えるかはともかく)はちゃんとある。戦闘ばっかやってるより、こっちのほうが見てて楽しいよ。