#11「約束の明日(後編)」

 最終回。死してなお湧太を待ち続けた苗さんより、苗さんに執着する英二郎のほうが強烈だった。今回、醜さを露わにしたのは、(人魚の灰も毒と言えるなら)人魚の毒を受けた苗さんではなく、英二郎の心のほうだった。人魚の肉を喰らわずとも、普通の人間もまた、なりそこないになり得るという戒めなのかも知れない。
 この回に限らず、不老不死や永遠の美しさ、あるいは人への愛情といった、何かに執着する人間を描き、そういった人間の悲しさはよく表現されていた。原作の短編という形式をそのまま用いたからなのか、各話の密接なつながりがなくて、シリーズとしての積み重ねが物足りなかったところはあるけど。今一歩惜しいという印象。まあ、この物語のテーマに希望があるとすれば、やはり真魚の存在が一番で、真魚が成長段階にある以上、話が完結していない、完結できないのは仕方がない。真魚的には全く焦る必要はないのだし。